童話(どうわ)

かいづかむら

ひがしのうみのとなりに「かいづかむら」というむらがありました。 そのはまべではおいしいかいがたくさんとれます。そしてむらのひとびとは、かいをたべてははまべにかいのからをやまのようにつみあげるのです。 あるとき、かいづかむらにやってきたたびび…

犬のせなかに森ができた

犬のせなかに森ができた。「病気なんじゃないの」とお母さんは言った。「だれかのいたずらだろう」とお父さんは言った。「森のたねが飛んできたんだ」とぼくは言った。 そのとき犬が「ワン!」と言ったから、犯人は森のたねだということになった。ぼくのうち…

いばりムシ

ムシのもりにすむいばりムシは、いばるのがだいすき。 いばりムシは、あなほりムシにいばります。「おい。きみのほったあな、なかなかいいな。おれがすんでやるよ」「このあなは、ぼくがじぶんのためにほった。きみはきみのあなをほれ」「なんだと。おれはい…

みかんのくにとりんごのくに

みかんのくにのみかんのなかには、りんごのくにがきらいなみかんがいました。 どうしてきらいなの? だって、あかいからね。あかいなんてへんてこだ。 りんごのくにのりんごのなかには、みかんのくにがきらいなりんごがいました。 どうしてきらいなの? だっ…

いじわると猫パンチ

1「どんなラクダにも生える羽根がある」と、たつみは言う。自由について話したかったのだ。「じゃあもう、こぶにストローさして、ココナッツミルク飲めなくなるね」と、かすみは答える。 それで、たつみの自由の話はどこかへ飛んでいってしまう。 2 殺し屋T…

ヒネクロ

ヒネクロがやって来ると、カモメは河原の丸石にまぎれます。「ヒネクロだ。あいつはおしりをつついてくる」 コサギは空に舞い上がって雲に隠れます。「ヒネクロだ。あいつはドングリを落としてくる」 トンビは流木のわきで枝になったふりをします。「ヒネク…

バッテンのあな

バッテンは、じぶんのかたちにぴったりのあなをさがしています。みんなぴったりのあなにしあわせにおさまっている。ちょっとかたちのちがうひともいるけれど、なんとかおさまっている。でもバッテンにはみつかりません。「どこにあるの?」「しらないよ」「…

ローセムと森

森から青い空気が流れてきた。その青い空気を、ローセムの苦しい胸はいっぱいに吸いこんだ。体が清らかになって、透明になって、消えてしまうような気がした。それから、ゆっくりと息を吐いた。ローセムの吐く息は黄色かった。森はその黄色をたちまち吸い取…

怪獣ガオウ

ガオウ山は土にうずもれている怪獣である、と言いはじめたのはきつつき博士である。「ガオウというのは我らの王と書いてガオウというのであり、怪獣のおたけびのことではありません」と、村長はテレビでまじめくさって反論した。「王というわりには、高さは…

あかいボール

カモのすから、たまごがひとつぬすまれました。 ヘビが、ぬすんだたまごをたべようとしたところ、コツンとおとがしました。 おや? ヘビがみていると、たまごからかわいいくちばしがでたのです。しめしめ、きょうはごちそうだ、とヘビがなかからヒナがでてく…

こびと国の赤い帽子

こびと役場が「赤い帽子の窓口」というのをつくりました。 その窓口でなにをするかといえば、こびと夫婦の愛を計るというのです。愛をどうやって計るのかというと、愛を計るてんびんで計るといいます。こびとの夫婦が手をつないで一方の皿に乗り、他方の皿に…

怪獣ポンケンゴン

その犬がポンという名前だと人びとが知ったのは、首輪にそう書いてあったからです。首輪こそしていましたが、ポンは飼っていた人に知らない町で捨てられたのでした。ポンはおなかがすいていたので、町のあちこちで食べ物をさがしたけれど見つかりませんでし…

ムリムリちゃん

「サッカーせんしゅになって、ハット・トリックをきめるんだ」とタロウがいった。「ムリムリ」とムリムリちゃんはいった。「スケートせんしゅになって、トリプル・アクセルをきめるの」とハナコがいった。「ムリムリ」とムリムリちゃんはいった。「じゃあ、…

せんそうにかんするあるじゅぎょう

イライラむらには、イライラしているひとばかりすんでいます。イライラしているので、まわりのむらにでむいてはらんぼうをします。そうでもしないと、じぶんたちどうしでけんかばかりしてむらがほろびてしまうからです。 いっぽう、ニコニコむらには、ニコニ…

なんのやくにもたたないいきもの

どこかのほしのはらっぱに、なんのやくにもたたないいきものがいました。「きみはほんとうに、なんのやくにもたたないねえ」 なにかのやくにたついきものたちは、くちぐちにそういいました。 なんのやくにもたたないいきものは、うんうんうなずいて、「じっ…