ドリーム・バスター

 私はドリーム・バスターだ。

 私は、あなたの幻想や夢を破壊する。私の仕事が完了するとき、あなたはもはや物語的な人間ではなく、ただの一個の生命に過ぎなくなる。

 はじめよう。

 あなたには、前世などない。あなたには、後世などない。あなたのための、神などいない。あなたのための、運命などない。あなたは、ただの変化する何かだ。そして、有限の何かだ。
 あなたは一匹の虫を笑えない。あなたは虫と同等なのだから。あなた自身から、他人やあなた自身によって付与された意味を剥ぎ取れ。あなたは、善人にも怪物にもなれる。
 あなたは善を取るだろうか。それは、人よりも余計に苦しむということだ。あなたはただひたすら逃げるだろうか。そうして、凡庸に紛れるのだろうか。どちらにも意味などない。
 あなたという無意味に、あなたは耐えよ。あなたを創ったのは、神ではない。あなたを創ったのは、あなたの両親だ。あなたの両親をずっと遡れば、無に行き着く。あなたの子孫をずっと辿っても、無に行き着く。無から無の間で、あなたは生きようとする。あなたのほとんどは、意志ではなく自律神経なのだけれど。
 あなたは老いるだろう。あなたは病気になるだろう。あなたはいつだって孤独に近づいている。あなたに希望はない。そのとき死が、あなたに優しく見える。

 今、私は仕事を終えた。一個の生命でしかないものが現れ、雑踏の中で立ち尽くしていた。その姿を、私は美しいと思った。達成感が私を優しく包む。

©新貝直人