いばりムシ

 ムシのもりにすむいばりムシは、いばるのがだいすき。

 いばりムシは、あなほりムシにいばります。
「おい。きみのほったあな、なかなかいいな。おれがすんでやるよ」
「このあなは、ぼくがじぶんのためにほった。きみはきみのあなをほれ」
「なんだと。おれはいばりムシだぞ。きみはあっちのすみに、もういっこじぶんのあなをほれ」
 そしていばりムシは、あなをよこどりにして、そこにおさまってぐうぐうひるねです。

 めがさめると、おなかがすいています。
 いばりムシはあなからでて、くだものつみムシをみつけていばります。
「おい。きみはなにをぐずぐずしてるんだ。はやくあそこのくだもの、つんでこい」
「ぼくはもう、じぶんのぶんはつんだ。ほしけりゃじぶんでいってつめばいい」
「なんだと。おれはいばりムシだぞ。つんでこないなら、きみのためこんだくだもの、みんなふみつけてやる」
 そしていばりムシは、まんまとしんせんなくだものをせしめて、むしゃむしゃたべてしまいます。

 ゆうがたになると、だんだんからだがひえてきます。
 いばりムシははっぱをかきわけ、きものムシをみつけていばります。
「おい。ぬくぬくしてないで、おれのためにあったかいはっぱのきものをつくれ」
「はっぱのきものをつくるのは、じかんがかかる。こないだあげたのはどうした」
「ひるまはあついからすてたんだ。いいからもういちどつくれ。おれはいばりムシだぞ」
 そうしてせかしてつくらせたはっぱのきものをきて、いばりムシはぬくぬくしながらあなにもどろうとします。

 ところが、あながありません。

 いばりムシはぷりぷりおこって、あなほりムシのところにいきます。
 ところが、あなほりムシはいません。

 いばりムシはふあんになって、くだものつみムシのところにいきます。
 ところが、くだものつみムシもいません。

 いばりムシははんなきになって、きものムシのところにいきます。
 ところが、きものムシもいません。

 くらくなったもりをうろうろしていると、いばりムシはころんで、きものがぬげおち、よかぜがきものをとばしてしまいます。

「みんな、どこいった! おれはいばりムシだぞ!」

 けれどもムシのもりはしんとして、ムシのこえひとつなく、ただつきあかりにあおあおとてらされているのでした。

 

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